犬と暮らす■犬の飼い方ガイド

健康管理

はじめに

人間でもそうですが、新しい環境になれるまでの間、戸惑いなどからストレスを感じることがあります。犬の場合も同じで、家族に迎え入れられたばかりの子犬は、新しい環境への戸惑いなどからストレスも高まって体力も落ち、病気にかかりやすくなっています。 ゆっくりさせて徐々に環境にならしてから、動物病院で健康診断を受けましょう。 また、外で拾った子犬や猫は、さまざまな病気にかかっている可能性も考えられるので、健康診断をしっかり受けましょう。

ワクチン

犬はワクチン接種をすることにより、伝染病の病原体に対する抗体を作り、免疫(抵抗力)をつけます。ワクチン接種をしておけば、万一病気に感染したとしても、発症が防げたり、軽症ですんだりします。
現在、ワクチンで予防できる病気は、狂犬病など数種類あります。 それらの病気は、感染したら命を落とすこともある恐ろしい病気ばかりです。
 
ワクチン接種の多くは、何種類かのワクチンを組み合わせた「混合ワクチン」として接種されます。予防できる病気はワクチン接種により予防しましょう。そして、愛犬を失うことがないよう、定期的に予防接種を行うことをおすすめします。それが犬にとっての一番の愛情かもしれません。
生後90日をすぎた犬は年に1度、狂犬病の予防接種を受けることが義務づけられています。また、その他のワクチンでもそうですが、ワクチンで作られる病原体に対する抗体は一生続くものではありません。抗体は徐々に薄れていくので、定期的に予防接種を受けることで犬に免疫力をつけておくことが大切です。
ワクチンの接種は、犬の健康状態をよく観察して、必ず体調がよいときに受けてください。接種後は安静にし、ストレスを与えたり、激しい運動をさせないようにします。ワクチン接種後、犬の様子がおかしいと思ったらすぐに動物病院に連絡してください。まれに、目のまわりが赤く腫れたり、ショック症状を引き起こしたり、ワクチンによりアレルギーを起こす犬もいますので、体調をよく観察するようにしてください。

<子犬の場合>

子犬は「移行抗体」、つまり初乳を介して母親の免疫を譲り受けます。この抗体による免疫は生後6~13週くらいで効果が薄れ、抵抗力が失われます。そして、子犬はこの頃に病気にかかりやすくなります。そこで、効果が薄れはじめる生後6~8週の間にまず1回目のワクチンを接種します。しかし、母親からの譲り受けた免疫がまだ残っている場合、十分な免疫効果を受けることができません。そのため、十分な免疫力を得られなかったことを想定して、接種の後、3~4週間間隔でさらに1~2回の追加接種を行います。 子犬のときに作られた免疫効果も徐々に薄れていくので、定期的なワクチン接種を行います。成犬のワクチン接種は年1回が一般的です。ただ、住んでいる地域や獣医師の考え方によっても違いがみられるので、犬の予防接種の種類や時期、接種のサイクルについては、かかりつけの獣医師とよく相談してください。

<室内犬の場合>

室内飼育の犬でもワクチンは必要です。ほとんど家から出なることがないからとワクチン接種を必要としない方もいらっしゃいますが、少しの時間でも外に犬の散歩に行くのであれば、感染の危険があります。外に出ないとしても、空気感染する病気もあるので、まったくかからないということはありません。感染する確率は多少ありますので、ワクチン接種をしておいたほうが安心です。

<ワクチン接種により予防できる病気について>

ワクチン接種により予防できる犬の病気には次の種類などがあります。

(9種混合ワクチン)
  • 犬ジステンパー
  • 犬伝染性肝炎
  • 犬アデノウイルス2型
  • 犬パラインフルエンザ
  • パルボウイルス感染症
  • 犬コロナウイルス病
  • レプトスピラ感染症コペンハーゲニー
  • レプトスピラ感染症カニコーラ型
  • レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
  • 狂犬病
  • フィラリア予防

※すべて受けておくことをおすすめしますが7種以上の混合ワクチンであれば十分、ワクチンの内容や接種する時期などについて獣医師よく相談してください。

病気

病気の一例です。
獣医師監修の犬の病気はこちら>>犬の病気大辞典

 

ウイルスが原因

ジステンパー

原因
ジステンパーウイルスに感染する事で起こります。 感染経路は3種類あり、くしゃみなどによる飛沫感染、感染している犬の使用した食器などを使用することにより感染する間接感染、 直接感染している犬に触れる事により感染する直接感染です。 ワクチン未接種の子犬に感染しやすいです。  
症状
感染すると通常、四~七日前後の潜伏期間ののち、ウイルスが活発に活動しはじめます。そして体内の免疫を担当するリンパ球を破壊し、 二次感染を起こし、鼻水、下痢、肺炎、発熱や食欲不振などになり元気がなくなります。 発症すると伝染性・致死率ともに高い病気です。  
治療と予防
二次感染による症状を抗生物質などの薬を使用して抑えます。 予防としては、定期的に適切なワクチン接種をすることです。

ケンネルコフ

原因
ウイルス感染や微生物、細菌感染により発症します。せきが特徴の病気で、感染した犬のせきなどによる飛沫により感染します。 混合ワクチンで予防できますが、ワクチン接種前の子犬やワクチン接種回数が少なく免疫の高くない子犬、新しい環境に来たばかりで ストレスにより心身ともに疲れ抵抗力の落ちた時に感染しやすくなります。  
症状
せきや発熱、食欲不振になります。通常は、感染して一週間から十日前後で治ることが多いが、 抵抗力の弱い犬は肺炎などの二次感染を起こすことがあります。場合によっては、おう吐や下痢、くしゃみ鼻水などの症状が現れます。 さらに脳神経症状がひどくなって死に至るケースもあります。  
治療と予防
抗生物質や吸入器を使い治療します。また点滴や栄養剤を投与して、体力の回復をはかり免疫力を高め自然治癒を促します。 犬の多いところで感染しやすいので、元気のない時には犬の多いところは避けるようにします。 ワクチンによる予防接種を受けます。

パルボウイルス

原因
パルボウイルスに感染する事で起こります。主に口からウイルスが体内に侵入し感染します。 ウイルスは発症して下痢などを起こした犬の糞便、嘔吐物などに混じって体外に出たあと、散歩中などに付着して、口から体内に入ります。伝染性は非常に高く、感染した犬に触れた人の手や服などが感染源となるケースもあります。 子犬や免疫力の低下した時にかかりやすくなります。  
症状
感染すると、ウイルスが体内で活発に活動します。腸炎型では、激しい腸炎症状や嘔吐、下痢、血便、脱水症、などの症状を引き起こします。心筋型の場合、突然症状が現れ、突然不整脈になり呼吸困難により死に至るケースもあります。 また骨髄を攻撃され、白血球が減っていけば、抵抗力がなくなり病原菌などに犯され、様々な感染症で死に至ります。  
治療と予防
二次感染の防止として抗生物質を投与します。また、体力の回復をはかる為に輸血や酸素吸入を行います。 そしてウイルスが付いていると思われるすべての物を消毒します。 ワクチン接種を行い、予防します。

コロナウイルス

原因
コロナウイルスに感染することよって起こる消化管の感染症です。 非常に感染力が強く、感染した犬の糞便、嘔吐物などから感染します。 体内にこのウイルスが入ると小腸で増殖して腸炎を起こします。その結果、嘔吐や下痢になります。  
症状
元気がなくなり、嘔吐や下痢になります。悪化すると便に血が混じるようになります。 特に子犬は症状が重く、下痢や嘔吐により脱水症状になり、体力がなくなります。 パルボウイルスと混合感染が起こる事が多く、混合感染した場合、死亡する危険性が高くなります。  
治療と予防
症状にあわせて抗生物質の投与や輸血、整腸剤、下痢止めの投与などを行います。 安静を心がけ、体力の回復に勤めます。ワクチン接種を行い、予防します。

 

細菌が原因

レプトスピラ病

原因
レプトスピラ菌により起こります。感染している動物の尿に汚染された水や土に触れることで感染します。  
症状
出血性の胃腸炎をおこしたり、発熱や筋肉痛、粘膜からの出血をする事もあります。 「出血型」や「黄疸型」とタイプがあり、「出血型」の場合、嘔吐、血便、尿の異常などの消化器や泌尿器の異常が見られます。 「黄疸型」は「出血型」より症状が重く、死に至ることも多いです。  
治療と予防
感染原因となった傷口などの治療を行います。患部を組織ごと取り除き、消毒します。 また、抗生物質の投与や輸液、強肝剤、利尿剤なども投与します。 予防として、外で遊んで体に傷ができてしまった場合は、患部の消毒をする。 そして定期的にワクチン接種を行います。また、人間にも感染するので注意が必要です。

 

寄生虫が原因

回虫症

 
原因
回虫には、イヌ回虫とイヌ小回虫の2種類があり、この寄生虫がいる犬の糞便の中にある虫卵を、 ほかの犬が口に入れることで感染します。 また、母親から子犬へと移行することもあります。  
症状
食欲不振や嘔吐、下痢などの症状がみられます。胃腸症状の他、発育不全の症状もみられます。 大量の寄生によって、まれに死亡することもあります。  
治療と予防
駆虫薬を投与し、回虫を駆除します。症状が重い場合は下痢止めなどの対症療法も併用します。 予防として、定期的に糞便検査を受けたり、散歩中などで他の犬の糞便に近づけないようにします。

フィラリア

原因
蚊に刺され、ミクロフィラリアに感染します。感染犬にうごめくミクロフィラリアを、蚊が血とともに吸いこみます。 その蚊が他の犬の血を吸い込むとき、唾液とともに犬の体内に押し出されます。 その間、蚊の体内で2回、犬の皮下などで2回の脱皮をし、第五期仔虫に成長し犬の血管に進入します。 そして、体内を進み心臓の右心室にたどりつき、心臓や肺動脈に寄生します。  
症状
症状として、せきがでます。それは、感染後進行とともに心臓にフィラリアが充満し、血液の流れが悪くなり、気管支静脈に血液がたまります。そして、血液中の水分が気管支にしみ出てくるため、せきをして排除しようとするからです。 はじめは運動をするとせきをする程度ですが、歳月とともにせきがひどくなります。 また、自然死したフィラリアの死体で肺動脈の先端に目詰まりしたり、肺動脈の血管が硬化するなどして、肺動脈内の血圧が 上昇していきます。そして、肺動脈に血液を送り出す心臓(右心室)への負荷が大きくなり、血流も悪くなります。 結果、肺も心臓もともに機能障害がひどくなります。ついには肺動脈塞栓症で呼吸できなくなったり、右心不全で心臓の働きが 止まってしますなどの症状があらわれます。 あるいは、心臓が静脈の血液を送れないために、手前にある肝臓に余分な血がたまり、肝機能が低下することにより肝硬変を起こします。  
治療と予防
急性フィラリア症では外科手術を行いすぐにフィラリアを取り除きます。 慢性症状の場合は駆虫剤や予防薬の投与を行います。ただ、死んだフィラリアが肺動脈につまってしまう危険があるため、 安静を保つ必要があります。 予防として、予防薬を使い、感染を防ぎます。ただ、感染後の予防はショックを起こす可能性があるため、予防の際は感染の有無を 確認します。

動物病院

気になることがある場合、動物病院へ相談してみましょう。 犬の具合が悪くなってからでは遅いので、気軽に相談できる主治医さんを決めておきましょう。 時間外、休日診療の有無の確認も必要です。 犬に元気がない、食欲がない、急にやせてきた、異常に水を飲む、頻繁に掻いている、糞・尿の量や色、形がいつもと異なる、咳やクシャミをする、 その他の普段と違う症状が出ている時は、相談または通院しましょう。

病院へ行く時の注意

知らない場所へ連れて行かれた時に驚き動揺する犬もいます。 飼い主が抱いていたとしても何かのきっかけで犬が逃げ出すことも考えられますので おとなしい犬でも必ずキャリーバックに入れて、首輪をしてください。 診断の手がかりになるので、糞・尿が残っていれば一緒に持っていく。 普段の犬の食事を聞かれることがありますので、フードの種類や量を認識しておきましょう。 初めて病院へ行く場合、ワクチンの証明書があれば一緒に持っていきましょう。

動物病院を検索する>>動物病院検索のPETNAVI

去勢・避妊

多くの飼い主が避妊・去勢手術を行うかどうかで悩むと思います。
避妊・去勢手術についての考え方も昔と比べて変化してきています。以前は避妊・去勢手術は、予期せぬ妊娠を防ぐ、野良犬を増やさないということが主な目的でした。現在では性的なストレスの軽減や性ホルモンに関係する病気の予防、放浪癖やマーキングなどの問題行動の予防や改善などが主な目的になりつつあります。
将来的に繁殖をどうするか、どのように犬と暮らしていくかをふまえたうえで、最善と思う結論を選択してください。また、「術前に一度だけ経験させてあげたい」と考える飼い主の方、逆に「しらないまま手術した方が幸せ」と考える飼い主の方、様々だと思いますが、その辺のことも家族や周りの方とよく相談した上で最善と思う結論を選択してください。
術後の犬は、肥満になりやすいと言われているので、食事と運動のコントロールをしてください。

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